どうすれば分かってくれるの?

 

お仕事で出会った

 

言葉のない、重度といわれるハンディのあるお子さん。

 

お母さまは、「彼の話す言葉が聞きたい、ママと呼んでもらいたい」という想いをもっていました。

 

保護者のご希望に沿うような対応をするのが、療育の現場にいる私たちの一番の使命でもあるのですが

 

彼と交流するうちに、ほんとうにそれが必要なのか?

 

 

彼にとってお母さんの想いってどんなふうに届いているんだろう?と思うことがありました。

 

 

言葉にならない叫び

 

毎回、げんきにやってくるけど想いが強くあるときには

 

わたしたちに近づいて両腕をつかみ、目を合わせて「うぅ~」とうなりながら自分の要求をきいてほしいというジェスチャーをしてきます。

 

そんなときは決まって、彼の意志を尊重せず、時間との関係で流れに乗ってもらうために半ば強制的にスケジュールを進めようとしているとき。

 

「ぼくには、こんな気持ちがあるんだよ」と教えてくれているときだったと思うんです。

 

 

 

そんなとき、同僚の先生たちは彼の声にならない叫びをほぼスルーして、先に先に進めるようなアプローチをよくしていました。

 

 

どうすれば、分かってくれるの?

 

すると彼は、どんどん分かってほしいというサインを増やしていきます。

 

最終的に何をしたかというと…

 

高学年でトイレのコントロールもできる子なのに、みんなの前でズボンをおろして、その場でおしっこをしました。

 

 

同僚の先生たちは「なんてことしてくれたの、トイレに行きたいなら、ちゃんと言ってちょうだい」というのですが

 

わたしは違うと感じました。

 

「こんなに一生懸命伝えているのに、これでも分かってくれないの?」といっているように聞こえました。

 

 

すると同僚の先生には

 

「あなたは子どもに寄り添いすぎよ。仲良くするのは、あとにしてちょうだい」と言われました。

 

 

心の中では仲良くするのが近道だと思うのに…と悲しい気持ちになりました。

 

 

 

療育の先生の対応、わたしのとった対応

 

彼がその場でおしっこをしないようにと同僚たちが打ち出したアプローチの方法は

 

トイレに行きたいときに意思表示をさせるものでした。

 

わたしの意見や考えは通らなかった。

 

 

あるときから、彼はおしっこをしなくなりました。

 

彼に「しゃべりなさい、やり方に従いなさい」と一切言わない私が彼のことを応援して、とことん付き合うようにしたから。

 

ジグソーパズルが好きな彼に、どんどんピースを細かいものにしたり…

 

通常のカリキュラムより好きなことをやる時間を多めにとるようにしました。

 

 

上司や同僚には事前相談・打ち合わせするのではなく、

 

「ごめんなさい。今日はこんな予定だったんですけど、彼の様子をみていて、状態がよさそうだったので、こうしました。」

 

と、事後報告していました。

 

 

すると、わたしたちが手をかけなければいけないような事態が起こらなくなって、同僚の先生は半ばわたしに従うような形になりました。

 

意見を言い合う時間は、ときに不毛な時間になると分かっていたので

 

同僚の先生とのコミュニケーションをとる上では、ルール違反だったかもしれないけど

 

お子さんのやりたいことを優先するというのは、どういうことか、というのを分かってもらうには

 

 

そうするしかなかったと思っています。

 

 

よくない行動を減らすためには?

 

 

 

結果、彼のよくない行動が減り、なくなったので私の対応は正しかったと思っています。

 

日常生活における、何気ないやり取りの中でも同じことが起こりますね。

 

こどもに力づくで何かさせようとすると、失敗することが多くないですか?

 

わたしも子育て中は、おなじような失敗をしてきました。

 

限られた時間の中で、やらなければならないことがある状況だと、

 

つい母親が子どもに指示を出して動かさなければならないと、声掛けをしてしまいます。

 

 

 

 

 

わたしも子どものとき自分でされて嫌だったのに、自分が親になった時には当たり前のようにしてしまいました。

 

その時の失敗体験をおぼえていたので、仕事でも活かしました。

 

息子の時はうまくできなかったので、ほかのお子さんでやり直しさせてもらってます。

 

 

そういったいきさつを、お迎えに来たお母さまにお伝えします。

 

 

私の失敗談として

 

こんな失敗があったけど、こうしたら、成功したよ~とお伝えすると共感してもらえたり。

 

「自分もついやってしまう」と本音を伝えてくれるお母さんにも多く出会いました。

 

 

「この人の、毎日の辛いところに少しでも関われて、楽になるお手伝いができるかもしれない」と思えたのは、そんな仕事での体験からでした。

 

 

 

わたしの失敗や経験を活かしたい

 

私の失敗したことことを活かす。

 

誰もが、お子さんを思って、大切だからこそ「こうあってほしい」と思うのに

 

時と場合によっては、それがお子さんを苦しめているなんて思いもしない…

 

 

 

ひとりで考えていると、なかなかたどりつけなかったりするので

 

一緒にお話ししてみませんか?